BYODとは

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BYODとは業務において個人所有の端末を活用することを指します。通信コストの削減や業務効率化などのメリットがあり、さまざまな企業への導入が進んでいる制度です。ここではBYODのメリットや導入時のポイント、セキュリティ対策について紹介します。

目次

BYODとは

BYOD(Bring Your Own Device)とは、企業が規定するルールに基づき、個人所有(プライベート)の端末を業務にも利用する方法です。携帯電話やスマートフォンなどの端末は、いまや営業活動に欠かせないアイテムとなりました。しかし、企業で社員用の端末を全て揃えると、コストや管理の負担がかかるのも事実です。そこで、個人の端末を業務で活用するBYODが注目されています。

かつて業務用の端末は、企業から従業員へ支給されることが一般的でした。個人所有の端末に比べ性能が優れていたケースが多く、会社支給のメリットが大きかったためです。しかし、近年ではスマートデバイスなどのモデルチェンジの周期が早く、優れた機能を持つ製品が続々と開発されています。社用端末の頻繁なリプレイスはコストなどの面から難しいため、性能が個人所有の端末に劣ってしまうことも珍しくありません。

そこで、BYODを導入する企業が増えています。企業は端末支給のコストを削減でき、従業員はデバイスの使い方を改めて覚える必要がなく、生産性を向上できる点がメリットです。

なお、企業の方針に関係なく個人所有のスマホなどを業務に利用することを「シャドーIT」といい、データの無断利用や情報漏えいなどの危険性があります。もし社内でシャドーITが横行している場合は、端末利用の規定を早急に整備しましょう。詳しくは「シャドーITとは」で解説しています。

BYOD導入のメリットとデメリット

BYODにはコスト削減や生産性向上などのメリットがあります。BYODの制度を整えるとともにセキュリティ対策をしっかりと行い、有意義に活用しましょう。

BYODのメリット

BYODは企業・従業員ともにメリットの多い制度です。従業員のモチベーションを向上させるほか、在宅勤務やテレワークといった多様な働き方の実現にも役立ちます。

企業のメリット

  • 社用端末のコスト削減
    社用端末を用意しなくて済むため購入費を削減できます。また、管理コストの抑制にもつながります。
  • 在宅勤務やテレワークの促進・導入
    社外でも業務に取り組める環境が整うため、在宅勤務やテレワークの導入に役立ちます。
  • 災害時にも連絡が可能
    個人の端末はプライベートで持ち歩くことが多いため、災害時でも連絡を取りやすいメリットがあります。そのため、万が一災害が発生した場合もスムーズに安否確認を行えます。

従業員のメリット

  • 生産性向上
    使い慣れた端末を用いて情報管理を一元化できるので、業務効率の向上につながります。社用端末との2台持ちをしなくて済む点もメリットです。
  • 移動時間の有効活用
    移動中や外出先でのすきま時間に業務を進めることができるため、生産性の向上や労働時間の削減が可能です。
  • 端末に必要なコストの削減
    BYODを導入する企業の中には、端末の購入代金や通信料の一部を負担する企業もあります。この場合、従業員は希望の端末を割安で購入し業務に活用できます。

BYODのデメリット

BYODのデメリットとして、セキュリティ上のリスクと時間外労働の懸念があります。端末の管理や労務管理を適切に行い、BYODを上手に活用しましょう。

セキュリティ上のリスク

BYODに関するセキュリティポリシーを明確に定め、不正利用が行われないよう企業が管理しましょう。BYODやシャドーITでは、情報漏えいなどのリスクがあります。これは端末の不適切な管理による紛失・盗難やウイルス感染などが原因です。そのほか、オンラインストレージに預けた業務データが流出するケースなども考えられます。

時間外労働の可能性

労働時間の管理を徹底して、BYODを活用しましょう。BYODは時間外労働を増加させる可能性があります。例えば、仕事の連絡が個人のスマートフォンへ頻繁に来るため休日でも休めない、といった状況です。所定労働時間外でも、企業からの指示のもとに個人所有の端末で業務を行う場合は「時間外労働」とみなされ、それに応じた手当を支給する必要があります。

BYOD導入時のポイントと決めておくべきルール

BYOD導入にあたっては、目的を明確に定めましょう。具体的には業務効率化や費用削減、災害対策などがあります。次に、目的に合わせた運用ルールやガイドラインを作成し、セキュリティ対策を行います。

運用ルールやガイドラインの作成

まずはBYODを利用する対象者と対象範囲を定め、利用シーンを想定して運用の規則を定めていきます。これは情報漏えいなどのトラブルを予防するために欠かせません。さらに端末の登録・解除手続きのフローを整備し、適切に管理できる環境を整えます。

BYODに慣れてくると、端末の管理が甘くなってくる場合もあります。企業は定期的に端末が適切に管理されているかチェックを行い、従業員のセキュリティ意識を高める機会を設けましょう。例えばOSの不正改造やウイルス対策ツールの有無などを確認し、問題があれば指導を行います。

セキュリティ対策のポイント

BYODではセキュリティ面と紛失のリスクに備えた対策が必要です。対策には、情報漏えいを防ぐためにスマートフォンのロックを義務化する、不審なアプリケーションソフトのインストールを禁止するなどの手段があります。業務用のデータを個人の端末に保存することは避け、クラウドサービスなどを利用し安全なサーバ上に保存しましょう。

また、遠隔地からスマートフォンをロックしたり、データを消去したりするリモートロック・リモートワイプ機能の活用もセキュリティ対策に有効です。

個人の所有物への配慮

BYODで使用する端末は、あくまでも個人の所有物です。従って業務目的で利用する場合でも、従業員の意思を尊重した対応が基本となります。端末の適切な管理は重要ですが、プライベートな範囲まで監視する必要はありません。

なお、従業員の個人情報(電話番号やメールアドレス、インターネットの閲覧履歴など)はプライバシーに深く関わる事柄です。BYOD運用時にこれらの情報を取得する場合は、利用の目的を伝えた上で適切な方法で情報を管理しなければなりません。

BYODの活用シーン

BYODは企業や自治体など幅広い業界で導入されています。しかし、BYODを認めるだけでは業務効率化につながりません。自宅やカフェ、出張先などでも社内と同様に仕事ができるよう、BYODを活用できる環境を整備しましょう。

IP-PBXによるスマートフォン内線化

IP-PBXと専用のアプリなどを用いれば、個人が所有するスマートフォンの内線化が可能です。社内・社外問わずに会社の電話番号で発着信ができ、外出時の業務対応もスムーズに行えます。保留・転送機能も利用できるので、従来のビジネスフォンと同様に操作できます。

また、業務目的の電話と私的な通話の料金を区別できるため、従業員は業務用の通話料を負担せずに済みます。取引先に個人の電話番号を知られることもなく、安全性も確保できます。

クラウドサービスとの連携

端末とクラウドサービスとの連携により、社外でも快適に業務を進めることができます。例えば、クラウドメールを使用すればどこでも社用メールの送受信が可能です。ツール次第では名刺・電話帳の管理や出退勤の申請も可能で、在宅勤務を認めている企業にも大きなメリットがあります。クラウドにデータを保存しておけば、万が一端末を紛失しても業務に関わるデータを失うことはありません。

まとめ

スマートデバイスの普及や業務用アプリケーションの開発に伴い、BYODを導入する企業は今後増えていくと予測されます。BYODの活用ではトラブルを防ぐためにも、ルールやガイドラインを定めることが大切です。BYODをまだ導入していない企業は、一度社内の情報端末の利用状況を確認することをおすすめします。