タスクから把握する、オフィス移転スケジュール

オフィス移転・設立

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ここでは、オフィス移転を行うまでの流れと発生するタスクを時系列で紹介します。オフィス移転は引越し作業に加えて多くの手続きが必要となるため、作業すべき内容やタイミングを把握しておくことが大切です。

6カ月前:移転計画の立案・物件の選定、契約

オフィス移転は予想以上に時間がかかるものです。移転直前になってから慌てることのないように、移転スケジュールの立案や物件の選定は6カ月前に済ませておくのがベストです。

✓移転計画の立案

解約予告期間を踏まえた上で移転日を確定し、現在のオフィスが抱える課題と移転の目的を整理します。さらに、オフィス移転のためのプロジェクトチームを結成します。各部門から代表を1人ずつ選んでチームに組み入れると、全社への連絡もスムーズです。

✓物件のピックアップ

立地や広さ、賃貸料などの条件を設定し、物件をピックアップします。移転計画で定めた移転の目的を軸に、絞り込んでいくのがポイントです。トイレや給湯室など共用部の使い勝手や、監視カメラや警備員の配置などのセキュリティ対策も必ずチェックしておきます。物件の選定に合わせて、オーナーの信用調査も行っておくと後のトラブル防止につながります。

✓物件の選定・契約

ある程度物件をピックアップしたら、条件を列挙して比較検討を行います。なお、物件申込みの時点ではペナルティは発生しませんが、契約後のキャンセルでは違約金が発生します。契約は慎重に行いましょう。

5カ月前:内装・レイアウト

移転の5カ月前にはオフィスの内装やレイアウトについて検討します。内装やレイアウトは社員のモチベーションアップや企業のブランディングにもつながるため、特にこだわりたい部分です。

オフィス内の人の動きを考慮して導線を引き、社員が快適に過ごせるような内装を取り入れましょう。なお、内装・レイアウトを具体的に決定するのと同じタイミングで、内装業者の選定も済ませておきます。移転の3カ月前には内装工事に着手し、1カ月前には工事が完了している状態がベストです。

3~4カ月前:物品整理・各種工事手配

移転の3~4カ月前を目安に、物品の整理や各種工事手配を行います。煩雑な作業はつい後回しにしてしまいがちですが、余裕を持って移転するためにも前もって準備しておきましょう。

✓物品整理

現在のオフィスから移転する物品、廃棄する物品を選別し、新規購入するものをリストアップします。具体的には電話やFAXなどのOA機器、家具や什器、備品などの移設や追加購入を検討します。物品の発注先が複数にまたがる場合も少なくないため、発注先と発注内容を整理してまとめておくと作業が滞りなく進みます。

✓各種工事手配

オフィス移転ではインターネット回線の種類が変わったり、電話回線が増減したりすることも珍しくなく、電気や電話、インターネットなどの設備工事が不可欠です。特に、電話の工事は時期によって混み合い、手続きに1カ月程度の時間を要することもあります。移転までに必要な設備を用意できるよう、前もって準備を進めておきましょう。移転のタイミングで電話システムを従来の加入電話からIP-PBXに変更すると、インターネットで回線をまとめることができ、手続きの負担が軽くなります。

2カ月前:移転の挨拶や届け出

移転の挨拶は移転の2カ月前を目安に、遅くとも1カ月前までに行います。業務で関わりのある企業のほか、取引銀行や業者にも連絡を忘れずに。挨拶漏れがあると業務に支障を来す場合もありますから、抜け漏れのないように送付先をリスト化しておきましょう。

なお、郵便局やリース機器の業者、保険会社などにも住所変更届けを出す必要があります。

1カ月前:引越し準備

会社の住所を記載しているホームページやパンフレット、名刺や封筒、社員証など、住所変更が必要なものを確認し、作業効率化のためにもリストアップしておきます。

引越し準備では荷物の梱包方法などを記したマニュアルを用意しておくことがポイントです。一定のノウハウを共有することで社員が作業しやすくなり、スムーズに移転を進めることができます。

移転後すぐ:公的機関への届け出・原状回復工事

引越しが終われば心機一転、新オフィスでの仕事に取り組みたいところですが、後々問題が発生しないよう、確認しておかなければならない事項があります。移転後に必要な事務手続きや原状回復工事を終えるまでは、オフィス移転が完了したとはいえないのです。

✓移転届け

オフィス移転の場合は、法務局、税務署、都道府県税事務所、社会保険事務所、公共職業安定所(ハローワーク)、労働基準監督署、消防署、郵便局、警察署などの公的機関へ届け出が必要です。それぞれ届出期間が異なっており、労働基準監督署や公共職業安定所は移転後10日以内の提出が求められます。あらかじめ期間を確認し、移転後速やかに提出できるよう準備しておきましょう。

✓原状回復工事

物件を退去するときは、入居時と同じ状態に復元する「原状回復工事」の義務があります。回復の基準はビルオーナーによって異なるため、確認してから工事を依頼します。

なお、入居前後の様子が分かる図面(竣工図、レイアウト図面など)があると回復範囲の確認に役立ちます。これらの図面は次のオフィス移転を実施する場合にも必要ですから、オフィスを移転した際は必ず保管しておきましょう。

まとめ

オフィス移転ではちょっとしたミスが移転プロジェクトの遅延を招くことも少なくありません。トラブルなく移転プロジェクトを進めるためにも、移転の流れとタスクは必ず確認しておくことをおすすめします。快適なオフィスを作り、業務効率化や生産性の向上を目指しましょう。