オフィス移転マニュアル

オフィス移転・設立

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オフィス移転は、オフィスプランニングやマネジメント業者の選定、移転前後の事務手続きなど多くのタスクが発生する一大プロジェクトです。物件を探して引越しをするだけでは終わりません。ここではオフィス移転のポイントを整理し、マニュアルとしてご紹介します。

目次

移転プロジェクトの立ち上げ

オフィス移転にあたっては、移転目的の明確化とプロジェクトチームの結成が必須です。限られた時間と予算の中で移転作業をスムーズに行い、通常業務への影響を最小限にするために欠かせないステップといえるでしょう。

プロジェクトチームの結成

まずは作業を円滑に進めるために、社内から担当者を選出し移転プロジェクトチームを立ち上げます。プロジェクトチームの人数は企業規模や移転スケジュールによって異なりますが、各部門から最低1人ずつ選ぶことをおすすめします。部門の代表者を立てることで移転に関わる情報を全社に伝えやすくなり、移転後のレイアウトや配置について意見をもらえるなどのメリットがあります。

移転する目的の明確化

社員が働きやすい理想のオフィスを作るためには、現在のオフィスが抱える課題を整理し移転の目的(コンセプト)を明確にすることが大切です。これは業者や物件の選定などで適切な判断を行うための指針になります。オフィス移転を通して課題解決を目指せるように方向性を整理しておきましょう。

オフィスを移転する目的の例
オフィス拡張/統合、拠点づくり、事務所コストの削減、コミュニケーションの促進、モチベーションアップ、企業ブランディング など

パートナーとなるPM業者の選定

PM(プロジェクトマネジメント)業者とは、不動産経営代行業者を指します。オフィス移転では経験がない業務のノウハウが必要なことが多く、PM業者に業務委託を依頼するケースも珍しくありません。

一般には、PM業者に必要事項を伝えて提案書を作成してもらい、その計画に同意した上で業務委託契約を結びます。複数の業者を比較検討する場合は、同様にすべての候補業者に提案書作成を依頼します。このとき、業者に伝える情報に差が出ないよう注意しましょう。なお、社外への情報流出を防ぐために守秘義務契約を取り交わしておくと安心です。

提案書を受け取ったら公平な視点で審査し、契約を行います。

物件を選ぶ条件の決定

理想の物件に出会うために、立地や面積などの条件を明確にしておくことは大切です。さらに契約後のトラブルを防ぐためにも、ビルオーナーの信用調査を行っておくと安心でしょう。情報収集の際に必ず把握しておきたいポイントを紹介します。

物件選びの条件はここが大事

物件を選ぶにあたって、まず検討しておきたい条件が4つあります。どれも社員が快適に仕事を行うためには重要ですが、すべてに満足できる物件を探すのはなかなか難しいものです。条件に優先順位をつけるなど、柔軟な対応が求められます。

1. 使用面積

事務所衛生基準規則では、「事業者は、労働者を常時就業させる室の気積を、設備の占める容積及び床面から四メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、十立方メートル以上としなければならない」としています。一般に社員1人当りの必要面積の目安は2~3坪といわれています。(※3坪=約10平方メートル)

移転計画を元に必要面積を計算し、条件を満たした物件を選びましょう。

2. 地域・立地の条件

ビジネスを行うに適した土地であるか、利便性の高い立地であるかなどを確認します。社員の通勤路が確保できるかも重要なポイントです。なお、食事や買い物ができる周辺施設が充実していると、社員のモチベーションにも良い影響を及ぼします。

3. 必要経費

物件を借りるにあたり賃料や共益費、敷金などが発生します。これらの総額を計算し、支払い可能であるかをチェックします。限度額については経営者などの決済者に確認を取り、きちんと把握しておきましょう。

4. 入居可能時期の条件

物件によっては移転可能な時期・不可能な時期があります。スムーズに移転するためにも、入居が可能な時期を確かめておきましょう。

その他の条件

施設の耐震性能や空調設備、電気容量などの基本性能について情報収集を行います。エレベーターやトイレの個数といった共用部の設備もオフィス選びの大切なポイントです。なお、内見時には監視カメラ・警備員の配置などセキュリティ面も確認しましょう。

貸主の信用調査等

信頼できるビルオーナーを選ぶことは、物件選びと同じぐらい大切です。経済的に信用できるバックボーンを持っているか、社会的に信用のある人物であるかなどを調べてみましょう。テナントビルであれば、現在入居しているテナントに話を聞いてみると具体的な情報が得られるかもしれません。

内装・レイアウトの配慮

快適なオフィスは社員のモチベーション向上につながるだけでなく、企業イメージを向上させ採用活動などに良い影響を与えます。多くの社員が過ごすオフィスですから、内装にもこだわって働きやすい環境づくりを心掛けましょう。

内装

昨今は社員のモチベーションアップやブランディングの意味を込めて、スタイリッシュな内装を施したオフィスが増えています。コーポレートカラーを全面に押し出したり、ナチュラルテイストな内装で統一したりとアイディアも様々です。数種類のサンプルパターンを用意しておくと、物件のレイアウトに合わせて柔軟に対応できます。

レイアウト

レイアウトの基本はゾーニングと動線計画です。ゾーニングでは執務フロア、会議室、応接室などそれぞれの空間が効率よく機能するような配置を考えます。例えば、チームでの仕事が多ければ会議室を複数設ける、頻繁にやりとりする部門があれば近くにまとめるなどの配慮が必要です。

動線計画では、シンプルかつ社員が移動しやすい通路を設計します。なお、通路(廊下)の幅は建築基準法で定められているので注意が必要です。消防法に定められた避難経路も忘れずに確保します。

オフィス移転に関わる事務手続き一覧

移転する前に、関係各所に住所変更の連絡を行います。電話やインターネットなどのインフラ設備は手続きに時間を要するため、引っ越しの日から逆算して迅速に手続きを進めましょう。

ビジネスフォン

所要時間 1ヶ月
内容 電話回線の工事は時間が掛かる上、時期によっては混雑するので早めに手続きを行います。なお、同一市内でも移転に伴い電話番号が変更になる場合があります。名刺の刷り直しなどが発生する可能性もあるため、事前に電話回線の業者に確認しておきましょう。

オフィス移転は、常に稼働している電話システムを見直せる機会でもあります。IP-PBXを導入する場合、従来型で必要だった大型の主装置を設置する必要がなくなり、新オフィスの省スペース化ができます。また、インターネット回線を利用することで、通信の回線をまとめることができます。

また、IP-PBXでは電話線の配線工事が不要になり、LAN配線だけで電話システムが利用開始できるのでスムーズです。席替えの際も、工事なしで電話機のLANケーブルを差し替えるだけで済むので、オフィス移転と同時に人員追加などの組織変更を行いたい場合も困りません。

インターネット

所要時間 約2週間
内容 インターネット業者に連絡し、解約・契約手続きを行います。電話で手続き可能なものがほとんどです。また、電話システムと回線を統合する場合は、プランを再検討します。

法人口座・クレジットカード

所要時間 1日
内容 会社によって住所変更の方法は異なりますが、窓口のほか、インターネット上で手続きが可能な場合もあります。窓口に行く場合は印鑑や本人確認の書類を持参します。給与振込口座の支店変更も忘れずに行います。

所在地変更

所要時間 30分
内容 移転先の所轄郵便局に転居届を提出します。窓口のほか、インターネットでも変更が可能です。

事務用品・消耗品購入先への連絡

所要時間 1時間
内容 住所変更の届け出を行います。インターネット上で手続き可能なものがほとんどです。

なお、リース機器の業者や保険会社にも住所変更を届け出る必要があります。事務作業はつい後回しにしがちですが、忘れずに行いましょう。

まとめ

オフィス移転プロジェクトには膨大な時間がかかりますが、プロジェクトチームを結成し移転のコンセプトを立てておけばスムーズな進行が可能です。まずは現在のオフィスが抱える課題を把握し、それを解決するような快適なオフィス作りを目指しましょう。